前回の投稿でセネガルのインフォーマルセクターの経済的インパクトについて記しました。
このインフォーマルセクター、国の発展を考えますと「フォーマルセクター化」が欠かせません。
なぜなら、インフォーマルセクターは「税金を納めないから」です(厳密には少しだけ営業税のようなものを払っていますが非常に少額です)。
法人税はもちろんの事、なんとインフォーマルセクターの人達は消費税も国に納めないのです。
セネガルの法人税は30%、消費税は18%と高い税率になっています。
セネガルのインフォーマルセクターの経済規模は、GDPの41%にものぼりますが、これが税金の対象外という事です。
これは国の歳入を考えると大きな問題です。
また、正直者が馬鹿を見る社会になってしまっています。
なぜなら、仮に同じものを同じ価格で仕入れたら、インフォーマルセクターには絶対勝てないからです。
インフォーマルセクターには小規模事業者が多く、基本的に輸出入などは行っていません(原則輸出入には登録証が必要です)ので、そこでバッティングする事はあまり無いですが(登記をしていても、売上高を正しく申告しない、税関に賄賂を払い関税を安くしてもらうなどの不正を行う事業者は少なくありませんが)、セネガル国内で商品を仕入れて販売する場合、きちんと登記して税金を払っている企業からすると、税金を払わないインフォーマルセクターは本当にやっかいな競争相手でしょう。
セネガル政府はインフォーマルセクターのフォーマルセクター化を進めるべく、融資プログラムや法人設立手続き簡素化などの施策を行っています。
ですが、それよりもまずしなければならない事は、インフォーマルセクターから「法人成り」をするメリットをしっかりと周知する事(無いなら創る事)、そしてなにより、法人化しない場合のデメリットとして摘発や取り締まりを強化する事だと考えています。
前述の通り大規模な経済活動ですから、一度に禁止すると大混乱が起きる事は容易に想像できます。また、人口ベースではインフォーマルセクターで働く人の方が圧倒的に多い事から、政治家としては選挙を考えるとなかなか着手できない事も理解できます。
しかしながら、少なくとも首都のダカールだけでも、もう少しスピーディに取り締まりを進める事はできないのか、と現地でビジネスを行う身としては感じてしまいます。
JAPON COMMERCE SUARL
山田 一雅